●特急
「阪神特急」・・・・・ほんと凄い勢いですね。
おじさんたちの念願がかなった。「3人でお立ち台に上がるのが目標の一つだったので、うれしいです」。1968年生まれの“不惑トリオ”を代表して、阪神の矢野が喜びを表現した。すでに40歳となっている金本、下柳がその横で笑顔を浮かべていた。
思いは一つだった。合言葉は「シモに勝利を」だ。5月16日の誕生日を迎えてからというもの、白星に恵まれなかった下柳。阪神では1949年に当時41歳で勝った若林忠志以来59年ぶりとなる“40代勝利”に、金本と矢野のバットが導いた。交流戦の首位にも並ぶ勝利となった。
「1回にゲッツーを打ったとき、シモがすごい顔をしていたから、何とか打ててよかった」。冗談めかして金本が笑う。均衡を破った4回。敵失から得た無死二、三塁で三塁線を破った。先制の2点二塁打。なおも好機を継続し、夏の甲子園優勝投手の近藤を一気に攻略した。4点目の右犠飛を放った矢野は謙遜(けんそん)する。
「すごい活躍でお立ち台に上げてもらうことをイメージしてたけど、僕はオマケで上げてもらったようなもの。得をした気分です」
この4点を下柳は守ってみせた。同級生の思いが身に染みる。5回には藤本の併殺プレーに帽子をとって感謝の気持ちを表した。こんな姿も珍しい。6回にはローズに適時打されたが、続く北川を併殺に仕留めて最少失点にとどめた。おじさんの笑顔が並んだお立ち台。下柳が言った。「いい笑顔? 飲み屋のネエちゃんと飲んでるときは、もっといい顔をしてるぞ」。照れ隠しのジョークだった。 (吉川学)


