●強いな〜
しかし、ほんと強いですわ。今年の阪神。
一塁ベンチがざわついた。試合開始40分前に交換されるメンバー表。そこに書かれていた楽天の先発投手は、プロ初先発となる片山だったからだ。
片山は兵庫・報徳学園高から入団3年目の左腕。阪神は5番に林、8番に藤本と左打者を入れ、明らかに右投手対策を練っていた。「正直、予想できなかった」。広沢打撃コーチは打ち明けた。こういう時にこそチーム力が問われる。
1点リードで迎えた二回だ。先頭の林がカウント2―2から四球を選ぶと、続く鳥谷も四球。さらに7番野口も、2―0から粘って四球で歩いた。左打者2人を含む3人が冷静に球を見極めて作った好機を、後続が生かすのに時間はかからなかった。
片山の起用について、楽天・野村監督は「阪神を抑えると自信になるし、期待したんだが」と話した。一方の広沢コーチは「あわてたらダメだ。足をすくわれる」と、奇襲を受けて立った。打線は、荒れ球の21歳がリズムに乗る前に3点を奪った。岡田監督が評価したのは、左打者が選んだ四球だった。
メンバー交換から3時間40分あまり。ばたついたベンチの空気はうそのように消え、勝利を喜ぶナインの姿があった。再び、交流戦の首位に返り咲いた。


