2008年04月30日

●舞台から・・・

舞台から降りるときの姿ほど切なくて美しいものはない。
井上選手の敗戦後の笑顔がなんともいえない感動を誘いました。
素晴らしい柔道家の引き際は語り続けられることでしょう。



北京五輪開幕100日前を迎える直前に、柔道の申し子・井上康生(29)=綜合警備保障=が五輪への道を断たれた。体重無差別で実力日本一を争う大会の4回戦で、高井洋平(25)=旭化成=に得意の内またをすかされ、そのまま横四方固めに抑え込まれて一本負けした。準決勝で待っていた最大のライバル・鈴木桂治(27)=平成管財=にもたどり着けなかった。シドニー五輪金メダルなど数多くの金字塔を打ち立てた平成最強の柔道家は、このまま引退し、指導者の道を歩む意向だ。決勝は3年連続で同じ顔合わせになり、鈴木を破って優勝した石井慧(21)=国士舘大=が、選考レース大逆転で五輪代表に決まった。

 残り10秒、「得意技で投げたい」。康生の柔道人生すべてをかけた、代名詞の内またがさく裂…したかに見えた。しかし、間一髪の差ですかされた。逆に畳に転がされて、痛恨の技あり。そのまま横四方固めに。25秒後、日本一への、北京への挑戦、そして25年間の柔道人生の、あらゆる終わりを告げるブザーが武道館に鳴り響いた。

 試合後の康生の表情は、すべてを悟ったかのようにすっきりしていた。「一本を狙っていたので、悔いはないです。涙は今日は出ないですね」。すべての結末を受け入れた。

 04年にアテネ五輪惨敗、さらに05年は右大胸筋を断裂。その年の12月26日、宮崎にいる父・明さんに電話を入れた。「お父さん、もう一度僕の柔道を見てください。先生、お願いします」。父から師匠の関係に、時にはげんこつをもらう仲に戻った。何度も地獄へ落とされた。そしてたどり着いたのは、開き直りの境地。「やられても前へ行こうという気持ちです」。負けたけれど、最後の試合は自分にとって納得できるものだった。

 日本の最高峰の大会で敗れ、五輪の道も閉ざされた。明言は避けたが、この大会を最後に引退するのは確実。今後は数年間、英国に留学し、指導者としての道を歩みたい考えだ。

 閉会式後、満員の武道館から送られた「コウセイ」コールに笑顔で手を振った。ファン、そして家族−世界中からの愛に包まれ、静かに畳を下りた。

  (川村庸介)



2008年04月29日

●柔道家

柔道家の姿をみせて欲しいですね・・・この選手には。



柔道男子100キロ超級の井上康生(29=綜合警備保障)が、29日の全日本選手権(日本武道館)で逆転五輪切符を目指す。同大会の選手説明会が行われた28日、井上は引退をかけて最後の大舞台に上がると明言。柔道人生のすべてを出し切って、4度目の優勝を狙う。同級の五輪代表は大会終了後の強化委員会で決定。棟田康幸(27)石井慧(21)に後れを取る井上だが、全日本選抜体重別に続く優勝で奇跡を起こす。

 「やれるべきことは、すべてやった。明日(29日)は全力を出して戦うだけです」。井上は険しい表情を変えずに言った。「前日になって緊張感も出てきた。気持ちも高まってきた。本当に厳しい戦いになる」。自分自身に言い聞かせるように、一気に口にした。

 涙の体重別Vで、棟田、石井との五輪代表争いに残った。「体重別に勝って、自信がついた」。確かに同じように棟田と並んだ体重別前の会見より、顔つきは穏やかだった。3連覇(01〜03年)したころの全日本のビデオを見て、勝つイメージもできている。「明日が楽しみ」とも言った。

 11回目の出場だが、今回が最後の全日本になる。既に北京五輪後の引退を決意。代表を逃せばこれが最後の大舞台だ。「決めた以上は、もう戻って来られない。(五輪を逃せば)これが最後になるという現実もあるが、やるしかない」と、悲壮な決意も見せた。

 優勝すれば五輪切符獲得の可能性も出てくる。「考えていない」と目の前の試合に集中したが、優勝が五輪につながることは分かっている。だからこそ「(五輪は)試合後に、ついてくるもの」と表現した。過去五輪年の全日本覇者は、全員が五輪出場。厳しい状況に変わりはないが、データには後押しされている。

 この日は、金色の入った明るい配色のネクタイで登場した。「明るい色で行きなさい、と妻(タレント東原亜希)が言うもので」と照れた。もちろん「勝って北京へ」という願いは感じている。体重別優勝後は周囲から五輪出場を期待する声もかかるが「一切、気にしないようにしています」。既に入場券は完売。例年を上回る約250人の報道陣が見守る中、すべての雑音を封じ、雑念を捨てて試合に集中する。それが3度目の五輪、北京に通じる唯一の道であることを信じて。【荻島弘一】

[2008年4月29日8時57分 紙面から]



2008年04月28日

●こういう試合

こういう試合を落とさない阪神!!
今年は最強??



「阪神4-3巨人」(27日、甲子園)

 猛虎戦士の気持ちがひとつになった。そして今季初のサヨナラ勝利をもぎ取った。1点を追う九回二死一、三塁から阪神・赤星憲広外野手(32)の内野安打で追いついた。さらに二死満塁から新井貴浩内野手(31)が粘って押し出し四球。派手さはないが、必死で食らいついた。本当に価値ある勝利だ。

  ◇  ◇

 こんなにハシャイじゃってすみません!!なにせ…もう…快感を通り越す、猛虎軍団、08年初のサヨナラ勝ちですから!!

 「子供のように、うれしかったです!!こんな気持ちがいいのは初めてです!!」。

 4万3000人のマンモスの願いどおり、赤星がお立ち台に立つことがかなった。

 さすがに虎党も一時は、今季9カード目にして、ついに負け越すことも覚悟したけど。試合開始から3時間32分、Gを倒すため駆け続けた男が、ドラマを巻き起こした。

 2-3の九回二死一、三塁。打席に赤星。凡退ならジ・エンドだった。

 クルーンの剛速球の前にカウント2-0。「正直ヤバいなと思った。コブシ2つ短くバットを持ちましたね」。そして、3球目、外角低めの157キロを叩いた打球が遊撃前に高く跳ねると、レッドが超音速で走った。「これまでで一番速かったんじゃないですかね」。セーフポーズで一塁を駆け抜けた瞬間、一塁塁審も同じポーズをとった。

 ついに同点!!そのまま片ヒザをつき、両手を高々と挙げて、ビクトリーポーズ!!こうなれば神様も観念。最後は二死満塁から、新井の押し出し四球で、赤星に華を贈るしかなかった。

 1、2打席目は四球出塁し、天敵・内海を討つため好機を作り続けた。0-0の五回一死二塁からは、先制の中前適時打を放った。

 1-3と逆転された後の八回には先頭で、三塁へのゴロを木村拓が弾き、慌てた一塁送球が悪送球になると、一気に三塁を落とし、続く代打・今岡の右前打で生還した。

 「この試合は何か起こると思った。だから絶対、あれは(持病の)首がヤバいけど捕らないといけなかった」。

 九回表、二死満塁の守備では、坂本の右中間への打球をスライディングで好捕し、最後の攻撃に弾みをつけたのだ。

 毎日、試合前、赤星は誰よりバント練習を入念に行う。「バント練習って大事なんです。これが悪いと、打撃も悪いもんです」と己の状態を判断するバロメーターにする。この日も、一見、巧みにバント練習をこなしたが「いや、調子はよくないです」と、厳しく採点し、またフォームチェック。好調を維持のため、自分に厳しく、繊細だ。

 こんな男が、今、猛虎を牽引し、劇的勝利を生んだ。だから打って、走って、はしゃいだ3時間32分。超気持ちよかった。


2008年04月26日

●疲れ

前日の疲れが出たかな・・・・・。阪神。



巨人坂本勇人内野手(19)が持ち前の勝負強さを発揮した。6回1死一、三塁。阪神安藤の真ん中低めスライダーを左前へ運んだ。3試合連続の適時打は、試合を決める貴重な追加点となった。初の甲子園での伝統の一戦。「すごいですね〜、阪神ファンの声援は。甲子園の雰囲気は独特でした」。成長著しい19歳は、大観衆を楽しむ余裕があった。

 悔しさをぶつけた。2打席目に、2死満塁のチャンスで空振り三振。先制点を奪えなかった。「2打席目でチャンスに打てなかったので、何とか1本打ちたかった」と、執念で打った一打だった。タイムリーは2打席目と同じような低めに沈む変化球。見事にリベンジを果たした。

 原監督は「非常によくやっている。勝負強いし、集中力が素晴らしい。ベテランも見習うべきところがあるでしょう」と目を見張る活躍を褒めた。この日、球場には父喜代三さんと地元兵庫の友人が観戦に訪れていた。格好悪い姿は見せられなかった。「友達が何人か来ていたんです。打てて良かったです」と胸を張った。1番打者が板についてきた坂本が、強力打線をけん引する。【久保賢吾】